薄皮をめくるという行為

先日入荷しました”M-Technic”のシールであります。
本日”空欄”へ、貼り付けであります。
シールタイプですので、保護紙をめくって・・めくって?。。ん?めくれるん?って、くらい薄いんで。。
乾いたきただのおっさんの指は、悲鳴を上げるのでありますが。。
今や部品定価が、¥1620-となっておりまして。。
指紋やら色々気をつけて取り扱わないと。。
損害はとてつもない事になってしまいます。
風が吹いたら。。滑らして落としたら。。
もう恐ろしいくらいのストレスが私を襲ってきます。。
「ドイツオーダーだったんだ。。なんで?失敗した時のことを考えて。。2枚?いや数枚用意しておかなかったんだ?」
人間の小ささ、工場の小ささ。。に、いやになります。
それもこれもこんなシールごときが、こんな値段なのが、問題でありますね。
そのせいで私がストレスでぶっ倒れたりしたら。。気の毒でしょうがない。。
でも、貼らなければならない。
貼って、お客さんから、お金をもらわなければならない。
失敗したら、お金は頂けない。
そう、すべてはそこにある。
老眼鏡を磨きあげて。。
めくったシールが汚れないように。。手をきれいに洗う。
寒いので。。乾いた手に、ハンドクリームを塗る。。
いや待て。。ハンドクリームはお気に入りのKneippのグレープフルーツの香り。。
そこはどうでもよかった。。
ハンドクリームはダメだ、油成分があるので、シールに付いたら一巻の終わりだ。。
乾いた手と、乾ききった心。
カッターナイフの先っちょで。。めくろう。。決定だ。
よしよし。。いや待て。。カッターナイフで傷を付けたら、それこそ台無し。。
今一度、指先でめくろうとするが。。めくれない。。
これは、古いシールで、もしかしたら。。保護の紙と、一心同体少女た。。。同化してるんじゃないか?
いや、カッターナイフで再度挑戦だ。。
やるしかない。。指先が少しカッターナイフで切れて、出血しようがやるしかないのだ。。
心を決めて、カッターナイフを短く持つ為、指先でつまむ。
まて。。カッターナイフの先は、汚れていないか?
カッターナイフの先を去年の残りのベンジンで洗う。
お。。そろそろハクキンカイロのベンジンを買っておかないと。。
急に寒くなりそうだ。。
呼吸を整え。。
指先とこの目に、力を。
一回では出来ない。。目力と指先がシンクロしていないんだ。。
もう一度。。もう一度。。
コンマ数ミリ、シールがめくれた。
カッターナイフの先に少し、少しだけ力を入れて、シールを押し当てた。
保護紙を。。ゆっくり。。ゆっくりと剥がしてゆく。
M-Technicと印刷されたシールが、カッターナイフの先で揺れている。
息を止める。
”空欄”に狙いを定める。
この欄にきれいに入れないと。。
左から。。M文字側から。。空欄に当てた。
軽く水平さを見る。。
よし。。やさしく。。空欄に。。置いていった。。
完璧だ。。

お金を集金したら、この仕事は。。終了となる。。
「明日振り込むね。」
入金されるまで、私の仕事は終わらない。。